この記事では、ポータブル電源を選ぶときに見るべき2つの数字と、組み合わせるソーラーパネルの「できること・できないこと」を整理してお伝えします。読んだあとは、カタログのWh・Wという表示が何を意味するのか分かり、自分の家庭に合った容量を選べるようになります。

対象は、停電時にスマートフォンや照明など最低限の電気を確保したい一般家庭の方です。

「停電時に何を動かしたいか」から考える

台風や地震による停電は、数時間で復旧することもあれば、数日に及ぶこともあります。そんなとき心強いのがポータブル電源です。ただし種類も価格帯も幅広く、「結局どれを選べばいいの」と迷う方は多いはずです。

結論から言うと、選び方のコツは「停電時に何を動かしたいか」を先に決めることです。スマートフォンの充電だけで十分なのか、冷蔵庫まで動かしたいのかで、必要な容量は大きく変わります。目的をあいまいにしたまま容量だけで選ぶと、「容量は大きいのに肝心の家電が動かせない」「必要以上に大きくて場所を取る」といったミスマッチが起きやすくなります。

発電機ではなくポータブル電源が向く理由

防災用の電源といえば、エンジン発電機を思い浮かべる方もいるかもしれません。ただし発電機は、燃料(ガソリンなど)の備蓄が必要で、排ガスが出るため屋外専用という制約があります。

これに対してポータブル電源は、燃料が不要で排ガスも出ず、静音性も高いため、室内でも使いやすいのが特長です。スマートフォンや照明、扇風機、ノートパソコンなど、停電時の最低限の電力をまかなえます。

在宅で医療機器を使っている家庭では、ポータブル電源が使えるかどうかが気になるところだと思います。ただし、市販のポータブル電源を人工呼吸器などの医療機器に直接つなぐのは避けてください。消費者庁も、携帯発電機やポータブル電源の使い方について注意を呼びかけています。医療機器を使っている場合は、必ず主治医や機器メーカーに事前に相談し、その指示に従うようにしましょう。

ただし、充電中は発熱します。車内や直射日光の当たる場所での保管・充電は避けましょう。

また、ポータブル電源はあくまで「ためた電気を使う」道具であり、発電そのものはできません。停電が長引くほど、どうやって再充電するかが課題になります。ここで登場するのがソーラーパネルですが、この点は後ほど詳しく説明します。

選び方の基本:容量(Wh)と定格出力(W)

ポータブル電源のカタログには、必ず2つの数字が書かれています。

この2つは別物です。容量が大きくても、定格出力が低いと、電力消費の大きい家電は動かせません。

容量の目安をイメージで示すと、スマートフォン1回の充電で10Wh前後、ノートパソコンで50Wh前後、扇風機や照明は数十W程度を使います。冷蔵庫は1日で数百Whを消費します。メーカーは防災用として600Wh以上をひとつの目安として案内しており、冷蔵庫や調理家電まで使いたい場合は1000Wh以上、かつ定格出力にも注意が必要とされています(Jackeryなどの案内)。

たとえば600Wh程度のモデルであれば、スマートフォンの充電を何十回も繰り返せるうえ、LED照明や扇風機を一晩使う程度であれば十分に対応できるイメージです。一方、冷蔵庫を1日中動かし続けたい、炊飯器や電気ケトルなど電力消費の大きい家電も使いたいという場合は、1000Wh以上のクラスを検討したほうが安心です。「スマホと照明だけで良いのか」「冷蔵庫まで持たせたいのか」をまず家族で話し合っておくと、容量選びで迷いにくくなります。

電池の種類も重要なポイントです。リン酸鉄リチウム(LFP)は、一般的な三元系リチウムイオン電池に比べて熱暴走のリスクが低く、充放電の寿命が長いという特長があり、防災・長期備蓄に向いているとされています(Ankerなどの案内)。また、家電の故障を避けるため、出力波形が「純正弦波」のモデルを選ぶと安心です。

出力波形には「純正弦波」と「擬似正弦波(修正正弦波)」の2種類があります。擬似正弦波タイプは価格が安い一方、一部の精密な電子機器では動作が不安定になったり、異音が出たりすることがあります。パソコンなど、壊れると困る家電を動かす予定がある場合は、純正弦波のモデルを選んでおくと安心です。

ソーラーパネルの「現実」

ポータブル電源とセットで検討されやすいのがソーラーパネルです。停電が長期化し、コンセントが使えない状況でも充電できる、数少ない手段という意味で有効です。

ただし、過度な期待は禁物です。曇りや雨の日、屋内ではほとんど発電しません。公称のW数どおりには発電せず、向き・角度・季節によって発電量は大きく変わります。満充電には時間がかかるため、「晴れた日中に少しずつためる」というイメージで考えるのが現実的です。「ソーラーがあるから電源切れの心配はない」と過信しないようにしましょう。

実際の使い方としては、日中はパネルを屋外の日当たりの良い場所に置いて充電しながら過ごし、夜はたまった電気でライトやスマートフォンの充電をまかなう、という生活サイクルが現実的です。ベランダや庭に置けるご家庭なら、停電が長引いた場合の「ゼロにしない」手段として備えておく価値はありますが、これ一台で安心、というものではない点は押さえておきましょう。

安全に使うための5つのポイント

まとめ:まず「何を動かしたいか」を決める

ポータブル電源は便利な道具ですが、万能ではありません。まず「停電時に何を動かしたいか」を決め、それに見合う容量と出力を選ぶことから始めてみてください。

出典

※容量・出力の目安は各メーカーの公表値によるものです。製品ごとに仕様が異なるため、購入前には各製品の公式ページで最新の仕様をご確認ください。