この記事では、車が水没してしまったときに取るべき行動の順番と、保険・修理・廃車・買取それぞれの選択肢を整理してお伝えします。読んだあとは、「とにかく処分しなきゃ」と焦る前に、何から手をつければいいかが分かるようになります。

対象は、自宅や通勤先の車が台風や豪雨で水没するリスクのある一般家庭の方です。

ニュースの「水没=廃車」にモヤッとした方へ

台風や豪雨のあと、ニュースでは「水没車は廃車」というフレーズをよく見かけます。自分の車が水につかってしまったら、本当にもう終わりなのでしょうか。

結論から言うと、水没車は必ずしも廃車一択ではありません。被害の程度・保険の有無・車の状態によって、選べる道はいくつかに分かれます。大事なのは、慌てて処分する前に、全体像を知っておくことです。

「水没車は廃車」というイメージが広まっているのは、復旧までの時間や安全面を考えると、多くのケースで廃車が選ばれやすいという実情があるためです。ただし、それがすべてのケースに当てはまるわけではありません。まずは落ち着いて、自分の車がどのパターンに当たるのかを確認していきましょう。

まず落ち着いて、この4ステップ

水没に気づいたら、次の順番で動きましょう。

  1. 動かさない:感電や二次被害を避けるため、無理にエンジンをかけたり動かしたりしない
  2. 記録する:車の状態や水の跡を写真に残す
  3. 保険会社に連絡する:加入している自動車保険の担当窓口に状況を伝える
  4. 査定を受ける:保険会社の査定結果を見て、修理・買取・廃車を比較する

この順番を守ることが大切です。先に自己判断で修理や処分を進めてしまうと、あとで保険金が減額される場合があるためです。

水没のダメージは「見た目」だけでは分からない

水没車の損傷は、エンジン、電気系統、内装、シートなど多岐にわたります。水が引いたあと、見た目は普通に見えても、配線や電子部品に残った水分が原因で、数か月後に故障が表面化することもあります。

水深が浅く、浸水していた時間が短い場合は被害が軽いこともあります。一方で、フロアを超えて水が入った場合は、電気系統への影響が大きくなる傾向があります。見た目だけで「大丈夫そう」と判断しないことが重要です。

車両保険は水害をカバーしてくれるのか

多くの方が気になるのが、保険で補償されるかどうかです。台風・洪水・高潮・豪雨などによる水没は、一般タイプ・限定タイプいずれの車両保険でも補償の対象になります(ソニー損保・三井住友海上などの案内)。

ただし、重大な例外があります。地震・噴火、およびこれらによる津波で水没した場合は、通常の車両保険の補償対象外です。備えるには「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」という特約が必要で、全損時に一時金(車両保険金額が50万円以上なら50万円、50万円未満ならその金額と同額)が支払われる仕組みです(SOMPOなどの案内)。水害と地震・津波では扱いが違う、という点は覚えておいて良いポイントです。

修理費が車の時価額を上回る場合は「全損」と判定されます。全損の場合は契約した保険金額が支払われますが、翌年以降の保険料が上がる(等級ダウン)ことがある点も、目安として知っておきましょう。

「修理」という選択肢もある

浸水がフロア下でとどまり、エンジンや電気系統への影響が少ない場合は、修理して乗り続けられることもあります。ただし、修理を決める前には、保険会社の査定と複数の見積りを取ることが原則です。勝手に修理や処分を進めると、保険金が減額される可能性があるため注意してください。

修理後も、電気系統の腐食トラブルは完全には消えないことがあります。「直ったから安心」と考えず、しばらくは様子を見る意識を持っておくと良いでしょう。エンジン警告灯が点く、エアコンの効きが悪くなる、異音がするなど、普段と違う様子があれば、早めにディーラーや修理工場に相談してください。

保険が使えない・使わない場合の処分方法

保険の対象外、あるいは保険を使わずに処分する場合は、次のような選択肢があります。

ローンが残っている場合は、特に注意が必要です。残債は保険金で必ず消えるわけではなく、保険金を充てても不足することがあります。事前に金融機関へ相談しておくと、その後の見通しを立てやすくなります。ローン会社が車両に抵当権(所有権留保)を設定している場合は、処分の前にローン会社の同意が必要になることもあるため、この点もあわせて確認しておきましょう。

廃車の手続きと、戻ってくるお金

廃車には、抹消登録(永久・一時)とナンバープレートの返納が必要です。また、未経過分の自動車重量税や自賠責保険料については、還付を受けられる場合があります。手続きは、自治体や業者が代行できる場合もあるので、時間が取れないときは相談してみると良いでしょう。

まとめ:焦って処分する前に、相談から

水没車は「廃車しかない」わけではありません。ただし、先に処分してしまうと選択の幅が狭まります。まずは保険会社に相談し、記録を残すことが出発点です。

出典

※保険の補償範囲や特約の内容は加入している保険会社・契約プランによって異なります。詳細はご自身の契約内容を保険会社にご確認ください。